Quantcast
Channel: アリの一言 
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2297

自衛隊のアイヌ文化盗用は「同化・皇民化政策」

$
0
0
    
<空自航空団の新マークは「アイヌ文化の盗用」か デザインめぐり議論>―20日付の朝日新聞デジタルにこんな見出しの記事が出ました。概要は次の通りです。
< 航空自衛隊第2航空団(北海道千歳市)が昨年12月に発表した新しいマーク(自衛隊機の垂直尾翼などに付ける)は、熊の頭と鳥の羽根、中心部分に唐草風のデザインがあしらってあるもの(写真左)。隊員からの公募をもとに決めたという。 中心部分のデザインは渦巻きとひし形で構成され、研究者によると「アイヌ文様の基本形」(写真中)と重なる表現だという。
 マーク制定に際し、航空団は、北海道アイヌ協会など関係団体や特許庁に照会し、問題がないことを確認したという。 だが、マークの発表後、アイヌの男性が「文化の盗用だ」とツイッターに投稿し、議論が起きた。「文化の盗用」とは、先住民族など社会的少数派の文化を、優越的な地位にある側が異なる文脈で流用する行為を指す。
 武蔵野美術大学の志田陽子教授(芸術法)は「先住民族の文化は、これまで著作権法の保護対象にならないとされてきたが、最近は集団の知的財産として保護すべきだとの議論がある。多数者側が利用する際は、当事者に敬意を払い、意に反する安易な流用を避ける配慮が必要だ」と話す。
 アイヌは、北海道や樺太(現サハリン)などに暮らす先住民族。長年にわたり植民者である「和人」から収奪と差別の対象とされ、明治以降は同化政策が進められてきた。志田教授は、アイヌ民族が平和を重んじてきた歴史にふれ、「アイヌの中には、自衛隊ということで反発する人もいる。デリカシーを持ってほしかった」と言う。
 アイヌの人と研究者らでつくるアイヌ政策検討市民会議は「アイヌ民族の権利をないがしろにする行為であり、国連宣言の精神に反するものだ」と指摘する。市民会議は16日、岸田文雄首相と航空団司令らに宛てて、使用差し止めを求める要請文を郵送した。>
 先住民族の文化をどう制度的に保護するかという重要な問題ですが、ここでは別の視点から考えたいと思います。それは、自衛隊がアイヌ民族の文化を盗用したことがどういう意味を持つかです。
 上記の記事は、「明治以降は同化政策が進められてきた」と過去形で書いていますが、これはまさに“現代の同化政策”に他なりません。その意味は2つあります。
 1つは、志田教授が指摘しているように、平和を重視してきたアイヌ民族の文化を軍隊である自衛隊のシンボルマークに使うことは、アイヌ民族の歴史の蹂躙・冒涜であり、ヤマトの軍事政策への包摂にほかなりません。それは明治以降の帝国日本が「富国強兵」=戦争国家政策として行ってきた「同化政策」と本質的に変わりません。
 政府・自民党が「軍拡3文書」で新たな戦争国家への道を猛進しようとしている今、この問題が起こったことは偶然とは思われず、その意味はとりわけ重大です。これは「デリカシー」の問題ではなく、日本政府の戦争国家化政策の問題です。
 もう1つは、天皇制との関係です。自衛隊は今も天皇制と切っても切れない関係の軍隊です。
 天皇制帝国日本が侵略戦争・植民地支配の文字通り旗印としたのが「旭日旗」。それを今も「隊旗」としているのが自衛隊(陸自・海自)です。
 安倍晋三政権は2018年3月、「日本の海兵隊」といわれる「水陸機動団」を創設しましたが、その「旗印」は「三種の神器」の1つ「草薙の剣」(写真右)です。
 神武天皇ゆかりの「八咫烏(やたがらす)」をシンボルマークにしている陸自部隊(中央情報隊・中部方面情報隊)もあります(日本サッカー協会だけでなく)。
 今回の盗用は、アイヌ文化をこうした天皇制と一体化したシンボルマークに包摂するものです。それはたんなる「同化政策」ではなく、今日における「皇民化政策」といえるでしょう。
 あるゆる角度から、自衛隊による「アイヌ文化の盗用」は絶対に許すことができません。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2297

Latest Images

Trending Articles





Latest Images